株式会社ict4e 原 秀一 代表 スペシャルインタビュー ③


アップロード:2020年8月6日


念願のコラボプログラミング教室を開催!子ども達の反応は?


イベントでの出会いからパートナーシップ契約を結んで頂いて、そこから契約更新を2回もして頂いて、現在は3期目になるかなと思うんですけれども、更新の部分での迷いとか、こういったことは一緒にやれないなとかお感じになられたことはなかったんですか?


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一緒にやれないというよりも、最初に一緒にやりたいねとお話した事業をやっと実現したのが昨年(2019年)の10月といった流れでしたね。


そうでしたね。原さん率いる日本人エンジニアの皆さんがツアーでケニアを訪れた際に、念願であったプログラミング教室を子ども達に開催してもらって、何枚か写真を見せて頂きましたが、これはどういったことを指導頂いているシーンですか? 

また、こういった機器を初めて見たり触ったりする子が多いと思いますが、子ども達に抵抗感みたいなものってなかったんですか?



おそらく(ケニアで公用語とされている)スワヒリ語も英語もアルファベット使っているということもあって、キーボードとか機器に対する抵抗感がある子はほとんどいなかったですね。

どちらかというと配線はちょっと抵抗があるみたいです。

USBを抜いたり挿したりとか、キーボードと画面つなぐとった作業は、少し恐れ恐れやっているところがありました。



2019年10月のツアーには、原さんと同じくパートナーとしてAFRICA DREAM SOCCER TOURを支えて下さっている、株式会社ナチュラルスタイルhttps://na-s.jp/summary.html) 代表の松田優一さんも参加され、子ども達に指導をしてくださいました。

 

なるほど、

今手に持っていらっしゃる青色のロボット、ケニアの子ども達もすごく楽しそうに触っていますね。

 


そうですね。

もう少しわかりやすく説明すると、ロボットって機械とコンピューターから構成されていて、この小さいコンピューターにキーボードでプログラミングを作るんですね。

写真の子ども達がやっているのはまさに、ロボットを動かそうっていうプログラミングをやっていまして、例えば「前進して右に曲がって左に曲がって、迷路脱出とか」「壁にぶつかる前に回れ右するとか」そういったプログラム(だいたい20~30文字くらい)をキーボードで打ち込んでですね、プログラムの入ったコンピューターをロボットに差し込むんですね。



そうすると、彼らが入力した命令に沿ってこのロボットが作動するんですが、ロボットの動きを見て思った通りにできているか確認して、出来ていなければまたコンピューターに戻って、どこが違っていたかを考えて直してまた試す。

っていうワークショップをこの時はやっていました。


 

彼らの表情からもすごく楽しんで取り組んでいた様子がうかがえたんですけれども、実際の声としてはどうでした?またやりたいみたいな声が多かったんですか?


そうですね、ロボットは誰からもいい反応が得れます(笑)

たぶん国は関係ないと思います。

ゲームとかをやると、日本人は結構ゲーム慣れしているので、すぐに面白いっていうのがついてくるんですけど、アフリカの人たちはあまりゲーム慣れていないので、面白さにたどり着くまでにちょっと時間かかりますね。

そういった違いはありますけど、ロボットはやはり、機械が勝手に思った通りに動き出すっていうのが面白いみたいで、良い反応してくれます。


僕たちがケニアで出会った子ども達ってスラム街に住む子ども達で、生活圏半径5mにはプログラミングに接する機会がない子ども達なので、そういった子ども達にプログラマーになるって世界を、選択肢を提供して、現在は週に1回の教室で、その世界に向けて進むかどうかの選択を子ども達に体験してもらっているような状況です。

ただ、実際に運営していく中で、キットが少ないとか、会場へのアクセスや広さの利便性があまり高くないとかまだまだ改善点は必要かなといったところではありますけど、トライ&エラーしながらこれからもプロジェクトを進めていって、5年後くらいには職業としてプログラミングに携わる子どもが生まれたら良いなと考えています。


 

いいですね。

1~2割の子ども達は才能というかセンスがあると思っています。


 

プログラマーになるための才能って何か必要なものがあるんですか?


いや、基本はないです(笑)

無いっていうのもおかしいんですけど、プログラミングってどこにでも必要だと思っていて、例えば農業にも必要だし、知り合いのイノシシ売っている猟師の方もプログラミングしていたりするんですよ。それこそ、普段の生活でスマホを使う僕らも、プログラミングが出来れば好きなことを作れたりもするので、誰にでも使えるものだと思います。

なのでおそらく唯一必要なものってなると、“何等かに対しての興味”って言うんですかね、農業を便利にしたいとか、事務やっている人の仕事を楽にしてあげたいとか、そういった方向性を一つ持ってもらえれば、プログラミングは必ず手助けになると思います。


なるほど。ありがとうございます。

ここからは、当日参加頂いた参加者の皆様からの質問に答えて頂きます。



参加者からの質疑応答タイム

※当日頂いた質問のうち、一部抜粋して紹介しております。


アフリカでプログラミング教育を行うことによって、どのような将来が期待できるか?また、日本人SE技術派遣の需要があるか?

一つ目の質問ですと、僕の中では2つパスがあると思っています。

1つは、例えばアフリカの人たちが今すぐiphoneのアプリ作れたら、彼らに100円のお金がダイレクトに入るんですよね。スラム街に住む子ども達に毎日100円が入ってくるってシチュエーションを考えていくと、その地域ではものすごくお金をもらっている人になれてしまう。現実世界のグローバルにアクセス出来て、お金と自分の技術を交換できるっていうのが、まず一つです。

 

もう一つのパスとしては、今後、例えば農業する人が小型コンピューターを使って自分でプログラミングして、自分の農業を便利にしようとかってことをしていくと思うんですけど、その場合に、海外で作ったソフトを買ってきて、その国の農業が必ずしも良くなるかっていうとそこは難しいと思うのです。自分の国のプロブレムが何かあった場合に、それを解決したいなって想いは自国民が一番強いはず。なので、ケニアのプロブレムはケニア人が解決するのが僕はベストだと思っているので、現地の子に現地の課題を解決できるようになってほしいなと思ってやってます。

 

2つ目の質問ですけれども、日本人エンジニアの派遣の形次第なんですけども、需要は高いと思いますが、最大の問題はお金が合わないことですね。ざっくりですけど、ケニアだと給料もらえている方で月収5万円とかなんですね。なので、日本で月20~30万円、上級プログラマーの方だと50万円もらっている方がそのまま入っていけるマーケットあるかというと、ほとんどないですね。

 

ただ、スタートアップはたくさんありますので、そのスタートアップにジョインして新しいことを立ち上げることに夢を見れる方であれば、僕はアフリカ、特にケニアは面白いマーケットだと思います。


日本でも子ども向けのプログラミング教室を実施されてますか?

はい、実施しております。

ネットで“PCN”って検索、Programing Club Networkって活動を友人たちとやっていまして、全国に仲間がいます。福井からスタートして全国にありまして、こちらの団体のミッションは“すべての子ども達のプログラミングを届けよう”ってことで、2014年からやってるものです。

これを海外に持ち出して、アフリカでやっているっていうのが今の形です。


プログラミング教室で現在関わっている子ども達への教室後のサポートはどのようにされていますか?また、子ども達に将来的にどうなってほしいかといった想いの部分をお聞かせください!

直接のサポートという形ですと、僕は日本に在住というか日本企業でやっているもので、どうしても難しいところがあります。どうしているかといいますと、ケニアもルワンダも現地の友達が現地でプログラミング教室をやっていますので、日本にいる間は日本から彼らを支援することで、最終的に子供へのサポートといったことを考えています。

将来的なところですと、夢物語かもしれませんが、“ケニアのウォズニアック”とか“ルワンダのビルゲイツ”といわれる様な人物が出てきて、ある日のインタビューで、『今の僕があるのは、原とかエメカとかが開いてくれた教室で、プログラミングに触れたのがきっかけで…』っていうようなストーリーを語ってくれると楽しいなと思ってやってます。


国際関係の仕事をするために必要な能力とステップは?

タンザニアでの経験等々一回挫折した僕が感じていることをお話しますけど、挫折してでもよいので続ける能力ですかね。異文化って言葉でいうより難しいと思っていまして、例えば親指を上に立てる“いいね”マークのジェスチャーが、Goodの意味にならない地域があったりとか、それ以外にも多様なものがあって、そういったなかで続けるっていうことが結構大変でした。

ステップでいうと、JICA自体に入ったりとか、国連に入ったりとかする時によく言われるのが、海外の実務経験が2年以上あることみたいな条件が付くんですね。なので一定期間現地で何かしらの活動をしているというのが大事かなと思います。個人的なオススメは2年以上ですね。僕はタンザニアに2年間いて、4月に何があって、10月に何があって、みんながこうやって動くんだっていうのを最初の1年でなんとなく獲得した気がするんですよ。だから最初の1年目は自分がやりたいことってほどんど何もできなくて、2年目のもう帰らなきゃって思いだしたころから、去年のこの時期はこんなことがあったからじゃあこういう事やってみようって始めれたと思っているからです。


プログラミング教室において、技術以外の面で子ども達に獲得してほしい能力や考え方などはありますか?

技術って何かのために使うものだと思っているので、集中できるものとか好きなものをぜひ見つけてもらいたいなと思っています。好きなもののためだったら頑張れると思いますので、プログラミング自体が好きだったらスキルをどんどん高めていってハイスキルな人材になってもらったらいいと思いますし、例えばおじいちゃんおばあちゃんが好きだったら、おじいちゃんおばあちゃんが苦労していることをプログラミングスキルを使って助けてあげたりとか、

例としては、PCN主催プログラミングコンテストhttps://pcn.club/contest/)を見ていただけると嬉しいんですけれども、日本の小中学生そして海外の子どもたちが、プログラミングで作品を作って応募してくれているんですよ。毎年300作品以上集まるんですけれども、そういった中で面白いのが小中学生でも課題解決型とかって言われるような、誰かが困っているものをこう解決したいって想いのこもった作品があるんです。学んだり身につけたりした技術を、そういう良い方向に技術が使ってくれたらうれしいなと思います。



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コメント: 1
  • #1

    佐藤 里奈 (水曜日, 12 8月 2020 20:42)

    オンラインイベントでお話聴かせていただいていましたが、原さんのお話とても興味深いです。
    きっかけは何でもいいけれど、それが今に繋がっていること。アフリカでの起業やこのプロジェクトで子どもたちへ伝えたいことに通じているのだと感じます。
    子どもたちもプログラミングも可能性は無限大ですね。
    このプロジェクトを通して、プログラミングに触れた子どもたちの数年後とかも知りたいなと思いました。